ん?、燻製??
最近は家庭でも手軽に燻製を楽しめるようになりました。
身近なホームセンターなどでもスモークチップやスモーカーなどを扱っていますし、以前よりも燻製関係の道具などを手に入れ易くなっています。でも、まだまだ趣味のモノというかマニアックな印象をお持ちの方も多いのではないかと思います。実際それなりの手間と時間が必要なのも事実ですが…。
それに、「燻製」というと「保存食」「固い」「塩辛い」というイメージや、市販のイカくんやスモークチーズのような大量生産のモノを想像される方も多いのではないでしょうか。
でも、本当に手間をかけて作った燻製はとっても美味しいものです。このサイトではひとつの料理(料理法)としての燻製づくりをご紹介できれば、そしてここを訪れた方々と情報を共有し、共にさらなる燻製の世界を広げていければ、と思っています。
ご意見・ご感想・アドバイスなどメールやでいただければ幸いです。
メールはこちらまで…smoke@atsu-craft.com
とりあえず燻製基礎知識
ここで、簡単に燻製について少しおさらいしてみましょう。
もともと薫製は保存食として食品の保存性を高めるための調理法のひとつとしてあみ出された(自然発生的に?)ものです。
そもそも、モノが腐るのはそこに細菌が繁殖するからで、それを防ぐためには細菌を繁殖させなければいいわけです。単純ですね。そして、細菌の繁殖には水分がずいぶん(笑)かかわっています。
ですから、塩を振り、乾燥させることによって水分を取り除いて細菌を繁殖させにくくするわけです。そこに燻煙(煙で燻す)をかけることによって食品の表面に煙の粒の膜を作ってさらに細菌がつくことを防いでいるわけです。

しかし、現在は昔と違って冷蔵庫もあるしフリーザーバッグのような食品を保存するのに良いものがたくさんあります。したがって、燻製の利点は保存性よりも煙の持つ独特の香り、風味にあるのではないでしょうか。
ですから、このサイトではより美味しい燻製づくりをテーマに進めていきたいと思います。とは言っても、そこは食べ物、人それぞれの好みの問題もあるでしょうし、それぞれの家庭の事情(笑)もあるでしょうからレシピの細かい点に関してはツッコミはナシね、ということで…。

さらに燻製基礎知識…薫製の種類とか
燻製には大まかに(細かにも?)3つの種類があります。熱薫、温薫、冷薫です。

熱燻
高い温度(80度以上)で短時間燻煙をかけるものです。
道具も小型の物でよく、保存性は高くありません。むしろ温かいうちに食べた方が美味しいですね。
手軽なところでは、バーベキューの時に肉などを焼きながら火にスモークチップをくべて香りを着ければ(ふたをすればよりOK)簡単熱燻の完成です。

温燻
中程度の温度(30〜80度)で中時間(なんのこっちゃ?1時間から4、5時間)燻煙をかけるものです。スモーカーも中型の物で手軽に楽しめます。
保存性は素材の乾燥時間や塩分の具合にもよります。が、美味しくいただくならあまり乾燥させすぎず塩分控えめのほうがgood!その時は早く食べちゃわなきゃいけません。
以前、管理人はもったいながって置いといてカビがはえちゃいました。(T_T)

冷燻
低い温度(大体20度以下)で長時間燻煙をかけるものです。生ハムやスモークサーモンが有名ですね。手間も時間も気が遠くなるほど(でもないか)かかります。
スモーカーも大型の物が必要ですし、住んでる場所によっては冬しか作れなかったりします。

実際、料理として手軽に美味しくしかも楽しく作ろうというのならば温燻が最も適しているでしょうか。ここのレシピもほとんど温燻です。(と、いうか冷燻をするだけの時間がなかなか取れないだけですけどね)

もっと燻製基礎知識…殺菌について
ここで殺菌についてもう一歩踏み込んでみましょう。
燻製に限らず、食品に細菌が繁殖してしまった状態が俗に言う「腐った」状態という事になります。それを防ぐためには極力細菌が繁殖しにくい状態を保つことが肝心です。
前項でも触れましたがそのために、塩漬け、乾燥といった工程があるのですが、もうひとつ重要なプロセスがあります。それがまさに燻煙(温熱乾燥)の工程です。
燻煙をかける際、特に温薫、熱薫では食材をある程度の温度にします。そのことで食品内の細菌を殺して(殺菌)いるのです。
牛乳の低温殺菌というのをご存知でしょうか?約60〜70度で2時間ほど殺菌するものです。
そしてその約60〜70度という温度がとっても重要です。なぜ低温殺菌の牛乳がおいしいかというと、低温だからなのです。一般にたんぱく質は、80〜85度を超えると変質してしまう、つまり味がかわってしまうのです。肉などではパサパサしてしまったり固くなったりします。
そして細菌が死滅する温度はだいたい60度以上なのです。(もちろん種類によって違いはありますが)ですから、美味しさを保ちつつ細菌を殺すには60〜80度の温度で2時間くらい熱をかけるということになります。
燻製を作る工程の中で温熱乾燥やボイルの温度管理を厳しくしなければならないのはそういった理由によるものです。ここ、ポイントです。試験にでますよ。(笑)
また、冷薫の場合には熱によって殺菌するという工程はありません。したがって細菌の繁殖を防ぐためにより厳しい食品管理が必要です。「1ヶ月もかかって作った生ハムで食あたり」なんて洒落にもなりませんもんね。そういった意味でも冷薫はベテラン向きということがいえると思います。